「出汁ってどうやって引くんですか」と聞かれることが多いので、毎朝やっていることをそのまま書いてみます。特別な道具は要りません。昆布と鰹節と水と、鍋があれば十分です。
昆布は水から入れる ¶
羅臼昆布を一リットルの水に対して十五グラム程度入れて、冷蔵庫で一晩置きます。翌朝、その鍋を火にかけて六十度くらいまでゆっくり温めます。沸騰させると昆布のぬめりが出て、出汁が濁るので注意してください。昆布を取り出すタイミングは、鍋の底から小さな泡が出始めた頃です。
鰹節は一度だけ、しっかり入れる ¶
昆布を取り出したら火を強めて、沸騰直前で鰹節を入れます。一リットルに対して三十グラムが目安です。火を止めて二分待ち、鰹節が沈んだらキッチンペーパーで静かに漉します。絞らないことが大事です。絞ると雑味が出ます。漉した後の出汁は、透明感があって薄い琥珀色になっているはずです。
出汁は当日中に使い切る ¶
引いた出汁は冷蔵庫で二日ほど持ちますが、風味は当日が一番いいです。当店では毎朝引いて、その日のうちに使い切っています。余った出汁は翌朝の味噌汁に使うことはありますが、それ以上は持ち越しません。少し手間ですが、この習慣が料理の土台になっています。
昆布の産地で味が変わる ¶
昆布は産地によって味が大きく変わります。羅臼昆布は濃くてうまみが強い。利尻昆布は透明感があって上品。日高昆布は柔らかくて煮物向きです。当店では出汁には羅臼を使い、煮物に昆布を入れるときは日高を使うことが多いです。どれが正解ということはなく、料理の用途に合わせて選ぶのが一番です。
出汁を自分で引くようになると、市販のパックとの違いがわかります。一度試してみてください。わからないことがあれば、来店時に聞いてもらえれば話します。